ジェームス・ブラウンの新作ドキュメンタリーから学ぶ9つのこと

Jason Newman | 2016/06/22 16:00

| 1969年頃のジェームス・ブラウン。(Photo by ABC Photo Archives/ABC via Getty Images) |

No.1ソウル・ブラザーの人生と音楽について、映画『ミスター・ダイナマイト ファンクの帝王ジェームス・ブラウン』得られるものとは。バンド仲間の銃が彼の顔に突きつられたことから、リチャード・ニクソンの不実まで。

ジェームス・ブラウンのファンは、すでに2014年夏から、チャドウィック・ボーズマンが"ソウルのゴッドファーザー"に扮した『ジェームス・ブラウン 最高の魂を持つ男』を目にする機会を得ているが、今回、『ファインディング・フェラ』や『「闇」へ』のアレックス・ギブニーが、ジェームス・ブラウンの実像に迫る新作ドキュメンタリー『ミスター・ダイナマイト ファンクの帝王ジェームス・ブラウン』(アメリカではHBOで放映。日本では6月18日より劇場公開中)をぶつけてきた。

この映画は、数々の汚点を含めたありのままの生涯ではなく、聖人的な扱いに振った作品だ。フィルムでは、ブラウンの武器使用による逮捕は省略され、たった一つの実例を除いて、数多くのドメスティック・バイオレンスに関する申立ては見逃されている。ミック・ジャガーのプロデュースによるこのフィルムは、ジョン"ジャボ"スタークス、クライド・スタッブルフィールド、ボビー・バード、ブーツィー・コリンズ、フレッド・ウェズリー、ピー・ウィー・エリス、そしてメイシオとメルヴィンのパーカー兄弟などブラウンを支えた多くのミュージシャンの手を借り、ファンクとソウルのパイオニアの人生の、重大な瞬間のいくつかを回想するものだ。

映画は主に、ブラウンがフェイマス・フレイムスに参加した1954年から、クエストラヴが"口ひげ時代"と呼ぶ1970年代中期までをカヴァーして、人道主義者および公民権運動の活動家としての行動と共に、アポロ・シアター、エド・サリヴァン・ショー、T.A.M.Iショーにおける伝説のパフォーマンスを並べる。ブラウンの生涯は、ケン・バーンズ監督のシリーズ物のように、すぐにマラソンのような長さになってしまいがちだが、『ミスター・ダイナマイト』は、なぜジェームス・ブラウンの音楽はかくも革新的で、画期的だったかを手際よくまとめている。同時に、彼のオールスター・バンドに対しては、バンド・リーダーの疲れを知らない働きぶりと専制君主ぶりに対して、臆させることなく、ふさわしい扱いを与えている。このドキュメンタリーでわかった9つのことをまとめてみた。


1. J.Bによる"ソウル・ミュージック"の定義は音楽だけにとどまらない

映画の最初の方でソウル・ミュージックの定義について尋ねられたブラウンは、こう答えている。「"できない"って言葉が、そいつをソウル・シンガーにするんだ。黒人は他の人種よりも余計な苦難を受けてきた。そして"できない"という言葉と一緒に長い時を生きてきたんだ。だからいつも彼らはそのことを歌えるのさ。そして少しだけ強く響くんだ」。その後、ブラウンは公民権運動に密接に関わるようになってその定義を広げる。「ソウルは、他の人間と平等であるために、一生を賭けてもがく時なんだ」とブラウンは言う。「ソウルは、税金を払い、さらに2度目も払うときだ。ソウルは、何をしたかで裁かれるときではなく、肌の色がどうかで裁かれる時なんだ」。
Translation by Kise Imai

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