レッチリが語る、数年ぶりの再始動裏話:怪我による創作休止期間からプロデューサー変更まで

バンドメンバーは重大な決断を下した。今回、1991年のアルバム『ブラッド・シュガー・セックス・マジック』以降、すべてのバンド作品のプロデュースを担当してきたリック・ルービンとの連携をやめることにしたのだ。そして、彼の代わりに、サイケデリックでヒップホップの影響を受けたアプローチを取り、ザ・ブラック・キーズやベック、U2のサウンドに新たな息吹をもたらした、デンジャー・マウスことブライアン・バートンを起用した。「ブライアンは「あなたたちの曲は大好きだし、もっと良い音楽にできるよう、お手伝いしたい」と言ってくれた」と、ドラマーのチャド・スミスは述べる。

ルービンのアプローチの大部分が切り捨てられ(スミスが言うには「彼はスタジオで長時間過ごすのが好きではない」)、ルービンとは対照的にバートンは長時間かけるタイプで、バンドに自分と一緒に一から曲を作るよう要求した。「彼はだいたい午前11時から午後11時までスタジオで過ごし、いわゆるスタジオ焼けをしているんだ」とスミスは述べる。レッチリは、1曲できるまで部屋で何時間もジャム・セッションをするのに慣れていたが、バートンはドラムのトラックに合わせて他の楽器を別々に重ねて作曲するよう要求してきた。「そのやり方をするのはかなり気が進まなかったよ」とフリーは述べる。「バンドとしての俺たちの力強さやありのままのアイデンティティ、奔放さなどは失いたくなかったからね。」

そうして出来上がったアルバム『ザ・ゲッタウェイ』(6月17日リリース)の収録曲の多くは傷心をテーマにしている。表題曲は孤独感を解消できるようになることを主題としており、『ドリームス・オブ・ア・サムライ』では「自分の妻にするには若すぎる」女性との破局についての物語が描かれている。これは、キーディスが昨年2015年、恋人のワネッサ・ミルホーメンと破局したとの報道が出た件とは無関係ではないだろう。「曲の多くが恋愛関係の内容だと言えるね。自分が誰かの心を傷つけるとか・・・」とスミスは述べる。激しい曲調の『デトロイト』ではザ・ストゥージズやJ・ディラなどのあらゆるアーティスト名が歌詞に登場し、キーディスが子供の頃に聴いた音楽についても振り返っている。「俺たちが今まで作ってきた作品の中でも、このコーラスはお気に入りのひとつだね」とフリーは述べる。「ジョシュはこの曲で存在感を見せているよ。」

Translation by Shizuka De Luca

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