バーニング・マンに代表される、世界のワイルドな野外フェス7選

(Photograph by Andrew Jorgensen)

バーニング・マンからシャンバラ・ギャザリングまで、世界7大"トランスフォーメーショナル・フェスティバルとは?

1990年、バーニング・マンの発起人たちは、ネバダ州ブラック・ロック・デザートの地面に一本の線を引き、「この線の向こう側では、すべてが異なるだろう」と互いに言い合った。絶妙な無秩序状態や参加の基本原理、参加者の義務、極端な一体感と自立心が特徴のバーニング・マンは、自分たちの方針に従って行動してきただけでなく、世界中の集会にインスピレーションを与えてきた。2010年のTEDxバンクーバーの講演で、ドキュメンタリー映画製作者のジート・ケイ・レオンが、このような「卓越した文化的現象」を説明するため、「トランスフォーメーショナル・フェスティバル」という新しい用語を作り出した。文化的現象を引き起こすことが目的で制約がなく、積極的な参加が奨励され、風変わりなことこそ素晴らしいとされる。開催現場はアイコンタクトや熱狂的なダンス、長い抱擁、お香、聖域、サイケデリックなもので溢れ返っている。イベントは数日間にわたって自然環境の中で開催される傾向にあり、レオンによれば、そのすべてに「参加者主導の没入型リアリティの協同創作」が含まれているという。

「フェスティバルは変わり続けるものであると請け負っているため、一連の特徴を明確に定義することは絶対に不可能だろう」とレオンは述べている。「フェスティバルでは多くの参加者が人生を変えるほどの経験を得て、さらに一貫性を強めた文化が出現することで、そのような経験が促進され、後押しされるのは確実だ」。

あなたがバーニング・マンの達人であるのか完全な初心者であるのかどうかは分からないが、世界で最も刺激的なトランスフォーメーショナル・フェスティバルをここに紹介しよう。

バーニング・マン(Burning Man)

Photo:Scott Lodnon

開催地:ネバダ州ブラック・ロック・シティ

開催期間:8月28日~9月5日

どんなフェス?:
この分野の草分け的存在であるバーニング・マンは、世界中のトランスフォーメーショナル・フェスティバルの聖地であり、指標となっている。反体制主義のアーティストや無信仰者で構成されるカコフォニーと呼ばれるサンフランシスコの仮装集団は、干上がり荒れ果てた湖底の中心で巨大な木製の人形に火を放つというアイデアを、どういうわけだか文化的繁栄のホットスポットとして転換させた。現在は非営利団体によって運営され、毎年、社会の各方面から7万人の参加者バーナーがブラック・ロック・デザートに集結する。ビール好きのNASCARファンがどんちゃん騒ぎをする横で、シャツだけ着た下半身裸の人たちが恍惚状態で過ごし、ボディ・ペイントや乳首タッセル、チュチュなども散見される。火を吹き出しながらビートを刻む、ライトアップしたパーティ・ワゴンが80年代のアーケード・ゲームのようにプラヤ湖を徘徊している。2000件以上の参加無料の講習会やワークショップ、イベントが実施され、テーマ・キャンプでは、性教育の講習会や無料のコンドーム、セックス・パーティ、グループ・シャワーなども提供される。ファービーの仮装で単独行動を行う男性が、バイクの後ろに取り付けたクーラーボックスから冷たいピクルスを振る舞っている。チベット僧による瞑想ワークショップやシルク・ドゥ・ソレイユのパフォーマーによる曲芸講座も開かれている。全裸で走り回るインターネット億万長者がいたり、「Critical Tits」パレードでは何千人もの女性たちがトップレスでバイクに乗って走るなど、リストは延々と続く。こういうことを想像できる人なら、バーニング・マンで実行することができるだろう。おそらく、このフェスに行けば、あなたと一緒にそうしてくれる人、もしくはもう既に実行している人がいるはずなので、参加するだけで良いのだ。

あなたがバーニング・マンの未経験者なら(フェスティバル参加者の3分の1近くにその傾向がある)、バーニング・マン特有のギフト型経済の一環として、人と共有できるようなシンプルで小さな物を持参するのを忘れないように(昨年はシラチャー・ソースの小瓶や防塵用の縫製マスクなどが人気だった)。売り物として販売されているのはコーヒーと袋入りの氷だけなので、その点もご注意を。また、痕跡を残すことが許されないので、自分が持って行った物は持ち帰るように。1週間にわたるフェスティバル終了後は、ブラック・ロック・シティ全体が消えて元の砂漠に戻るのだ。

公式ウェブサイト:burningman.org

Translation by Shizuka De Luca

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