裸体・ドラッグ・カルト指導者あり、デニス・ホッパー監督・主演の衝撃作品を振り返る

「映画のセクシーカットのお陰で人気が出た」

シラーは、1969年の『明日に向かって撃て!』のポール・ニューマンのフォトモンタージュから映画のアイデアを得た。元々ニューマン主演のドキュメンタリーを制作する予定だった。「カーレーサーとしてのニューマンと、『暴力脱走』で演技をする俳優としての彼は全く違う」ことを知ったシラーは、ポール・ニューマンという伝説の中に隠れている俳優を映す、メタドキュメンタリー、つまり映画についての映画の制作を提案した。しかし、ニューマンはその案に興味を示さなかった。

シラーによると、2014年に亡くなったカーソンが、当時親しかったホッパーにこの話を持ちかけた。すると「5分以内」に、ホッパーは前作(イージーライダー)のヒットに続く商業的成功にこだわる監督(ホッパー)の映画にしようと方向性を決め直したという。制作チームは、サブプロットの内容や始まり方と終わり方は撮影日に決めることに合意し、カメラを回しながらどう現場に入っていくかを考えた。撮影中、ホッパーはずっと役に成り切っていた。

ホッパーは、ドキュメンタリー公開時30代中頃で、『The American Dreamer』では偉そうなカウンターカルチャーの扇動家にすっかり成り切っていた。あるシーンでは、ホッパーはワイルドなひげをなでながらニューメキシコの荒野に座り、自身がトークをしていた大学で目撃した政治的暴動を映画に反映させることにしたと回想している。「『イージー・ライダー』を作った時、社会に蔓延する犯罪要素を見せる映画にしようと思った。俺はこの社会は犯罪者だらけだと思っているからね」ホッパーはしゃがれ声で自己満足気に語る。「コカインを国内に密輸する若者たちと彼らに手本を示す父親たちの違いが分からない。つまり、父親は軍需工場を作り、凍結資金を国外にこっそり持ち出しスイスの銀行に預けている。どちらがより大きな犯罪だろうか?」ホッパーは、このシーンで自分の理想のイメージを演じている。

『The American Dreamer』をより面白くしている側面の一つが、デニス・ホッパーのキャラクターの性的関心だ。彼は絵画の説明をする女性をいやらしい目でじろじろ見たり、別の女性にはカメラを前にする不安を語らせ、恥ずかしがらせている。その間ナレーションでホッパーは、完璧な「聖女にして娼婦」を探し求めていると語る。シラーは、"デニス・ホッパー"という役を描く上でこういったシーンは欠かせないと言う。

Translation by Satoko Cho

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