ブライアン・イーノが語る、カニエ・ウエスト、デヴィッド・ボウイ、そして待望の新作

CHRISTOPHER R. WEINGARTEN | 2016/05/06 19:00

| ブライアン・イーノ、「3次元のサウンド」の追求から生まれた新作『ザ・シップ』について語る |

「聴き手を内側へと誘うような音楽、面白いと思わないか?」

どこまでも潜り続ける潜水艦のようなブライアン・イーノの19枚目のアルバム『ザ・シップ』は、自身のヴォーカルをフィーチャーした1975年作『アナザー・グリーン・ワールド』のようなアート・ロックのテイストと、彼のトレードマークである流麗で優美なアンビエント・サウンドを組み合わせたような内容であり、45年におよぶキャリアにおいても極めて異色の作品となっている。曲構成、テクスチャー、そして近年手がけた没入型インスタレーションからの影響をミックスさせた本作は、スウェーデンの電子音楽研究施設フィルキンゲンにて、『3次元の音楽』と同時に公開される予定だ。

「最初のうちは特筆すべき点のない内容だったんだが、その曲における最低音の「ド」を、自分の声で置き換えられるということにふと気づいたんだ」イーノはそう話す。「以前はそのキーで歌うことはできなかったんだが、人の声は年齢とともに低くなっていくからね。1年ごとに高音の上限が約6ヘルツ下がり、同時に低音部が強調されていくんだ。そうやって形成されていった現在の私の声を、曲の一部として使ってみようと考えたんだよ。またその時に、「聴き手を内側に誘うような音楽」というアイディアを思いついたんだ。

近日ジュネーヴで公開される予定のインスタレーションでは、巨大な1枚岩のような建築物に設置されたラウドスピーカー数本を通して、来場者は同アルバムを耳にすることができる予定とっ
ている。(同インスタレーションは後日ロンドンでも開催される)救命ボートの乗客が綴った沈みゆくタイタニック号、第一次世界大戦で戦った汚れた兵士たちの歌、未完成のまま眠っていた自身の詩、本作品におけるそういった歌詞はテキストジェネレーターのアルゴリズムが生みだしたものだという。また本作には、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドによるサイケデリックな『アイム・セット・フリー』(1969年作)の、ストレートでゴージャスなカヴァーも収録されている。
Translation by Masaaki Yoshida

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