ウィーザー、リヴァース・クオモの人生哲学

彼はほんの一瞬、その診断結果に落胆した様子を見せるが、すぐに、なぜ今そもそも精神分析医に通い始めたのか話し出す。

「自分のいつもとは違うより深く、暗い内面を理解する助けになるものを常に求めているんだ。今、『ブラック・アルバム』という新しいアルバムに着手していて、それには新しい精神的な手法や新しい作曲手法、エコーパークとかシルバーレイクみたいな、ウロウロすることのできる新しい居場所が必要なんだ。精神分析療法は重要な役割を果たしてくれるだろう。この作品は、おそらくウィーザーのアルバムで初めて汚い言葉が出てくる、かなりR指定な内容になるかもね」。

彼は少し間を置いて、素早く息を吸い込む。「メンタル面の健康状態は気にしていないよ。関心があるのは創造的なインスピレーションだけで、心理療法は単に試す価値のあるクールでおかしなものだと思っている」。

そういうわけだったのか。音楽のためだけに精神分析医の診察を受けるという意図だったとは少し期待外れだが、その一方で、いかにも彼らしい話でもある。

だが、明日の朝もまた起きてすぐに、座ってラビリンス・ゲームをすることができるので、まったく問題ではない。このゲームで43個という以前の記録を初めて更新するべく、60個目の最後の落とし穴を目指して迷路の中に入れた小さな鋼鉄ボールの進路を進めていきながら、記録に近づいて失敗した時に彼は叫び声を上げるのだろう。だが、行きたいところに辿り着くまでどんなに時間がかかったとしても、断固たる決意を持って時折叫び声を上げながら、彼がやり通すことは間違いないだろう。


※米ローリングストーン誌1259号(2016年4月21日発売)より

Translation by Shizuka De Luca

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