映画『レヴェナント:蘇えりし者』:"生きた地獄"を駆け抜ける男の生き様

By Peter Travers 2016/04月号 P126〜126 |
©2016 Twentieth Century Fox
アカデミー賞主演男優賞受賞!ディカプリオが極限状態で熱演する、大自然を舞台にした"男の生き様"とは。
小心者にはおすすめできない映画だ。実在の猟師ヒュー・グラスが経験したサバイバル物語も、それを再現するレオナルド・ディカプリオの演技も極限状態を超えている。

さらに『アモーレス・ペロス』から『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』まで革新性を貫いてきたアレハンドロ・G・イニャリトゥ監督が、裏切り者に対する復讐劇でキャストと観客を容赦なく痛めつける。『レヴェナント:蘇えりし者』は、1823年の大西部を舞台に映画のパワーが炸裂する157分の大作だ。カナダやアルゼンチンでロケを行い、陰影の魔術師と呼ばれるカメラマン、エマニュエル・ルベツキが、俳優陣が"生きた地獄"と形容した凍てついた世界を映しだす。
監督は息もつかせぬ勢いで、主人公グラス(レオナルド・ディカプリオ)の残酷な運命へと観客を引きずり込む。ヘンリー(ドーナル・グリーソン)を頭とする狩猟チームがアリカラ族の大襲撃を受け、グラスは息子ホーク(フォレスト・グッドラック)を守ろうとあがくが、さらに登場するのが熊だ。その鉤爪の威力たるやエルム街のフレディの比ではない。瀕死の重傷を負ったグラスの最期を見届けて丁重に葬るべきだとするヘンリーは、フィッツジェラルド(トム・ハーディ)につき添いを委ねるのだが、金儲けしか頭にないフィッツジェラルドはグラスを生き埋めにして先を急ぐ。しかし、グラスは地中から這い出て、フィッツジェラルドに復讐を誓うのだった。

監督のテーマは大自然を生き抜くことで、坂本龍一、アルヴァ・ノト、ブライス・デスナーらの音楽がそんな物語を支える。ディカプリオは台詞らしい台詞を喋らず、男の生き様を見せつける。語らずして雄弁な演技にはオスカーへの期待がかかるが、それはどうでもいい(※ディカプリオは本作でアカデミー賞主演男優賞を受賞)。

本作におけるいちばんの見どころは、試練に果敢に挑戦した彼の"俳優としての才能"なのだ。

監督/アレハンドロ・G・イニャリトゥ
出演/レオナルド・ディカプリオ、トム・ハーディ
TOHOシネマズ 日劇ほか全国ロードショー中
http://www.foxmovies-jp.com/revenant/
Translation by Yuko Kubota

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