レオナルド・ディカプリオ、ロングインタヴュー(前編):気候変動問題とレヴェナント制作秘話

By STEPHEN RODRICK 2016/04月号 P126〜131 |
PHOTOGRAPH BY MARK SELIGER

スティーヴンスとディカプリオは気候変動をテーマにしたドキュメンタリーを撮ろうと意気投合した。ディカプリオが真実を求めて世界を駆け回る男の役を務め、科学者や政府首脳らの危機感を募らせる証言を入れつつ、おふざけも交えるという話になった(この作品には『容疑者、ホアキン・フェニックス』ふうの要素があり、『レヴェナント:蘇えりし者』そのままのむさくるしいディカプリオが、ニューヨークのスカイラインを背景に小ぎれいなビル・クリントンにインタヴューするという一幕も含まれる)。

ドキュメンタリーの制作準備を始めた矢先、『レヴェナント:蘇えりし者』の制作資金が確保された。いずれかのプロジェクトをあきらめるよりも、ディカプリオはこのふたつの間に対称性を見いだそうとした。ヒュー・グラスは西洋人による大地の破壊と他文化の根絶の最前線にいる人間であり、ドキュメンタリーではそういった破壊や略奪のツケを世界が支払わされることになる2世紀後の世界を描くのだと。カナダのアルバータ州を訪れ、オイルサンド油田の地獄を思わせる光景を目にした結果、ディカプリオの中で両者のつながりは一層強くなった。その油田は、『レヴェナント:蘇えりし者』の撮影をしていた息をのむような山々や小川から北へほんの数時間の場所にあった。アルバータ州が記録的な暖冬を『楽しむ』中、映画の撮影は雪不足でたびたび中断された。度重なる撮影の遅れに悩まされつつ、イニャリトゥ監督とディカプリオは映画と現在の関連性の深さに身震いした。

「まさにパラレルワールドだった」とイニャリトゥ監督は振り返る。「それについてたっぷり語り合った。この国の始まりを描いていて、その結果によって200年後に悩まされているのだと思うと、恐ろしくなった。まさに鏡だよ。面白くもあり、とてつもなく怖くもあった」

映画撮影について、「ボクらは何かを発見する、自然の言うことに耳を傾けるという目的を持って行ったんだ」と語るディカプリオ。そわそわして、手を開いたり閉じたりしている。「はっきりと直接的に言ったわけじゃないけど、『オーケー、自然に身を委ねると一体どうなるんだろう?どんな発見ができるんだろう?』という感じだった。で、結局受け取ったのは、自然の逆襲というクレイジーで常軌を逸したメッセージだ。ボクらは制作を中断するしかなかった」。しばらくして、単刀直入に言った。「そもそも、もう手遅れなんだろうか?」

ドキュメンタリーの撮影隊が地球上の問題箇所を回る中で、スティーヴンスは希望を失ったディカプリオを時折励ます必要があった。「オレがどちらかというと光、彼が影かな」とスティヴンスはニヤリとした。「いつもこう言ってるよ。『そんな馬鹿みたいに悲観的になるなよ。もしとっくに手遅れだったら、オレたちは何のために作品を作ってるんだ?』」。スティーヴンスは明るく笑う。「レオはわかってくれたよ」 

後編へ続く
Translation by Takamune Murase

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