レオナルド・ディカプリオ、ロングインタヴュー(前編):気候変動問題とレヴェナント制作秘話

By STEPHEN RODRICK 2016/04月号 P126〜131 |
PHOTOGRAPH BY MARK SELIGER

ディカプリオにとって、『レヴェナント:蘇えりし者』も環境活動も、すべて1998年のアル・ゴア副大統領(当時) との出会いから始まったものだ。子供の頃から生物の絶滅を憂いていた。スミソニアン国立自然史博物館のカーク・ジョンソン館長も、乱獲のため19世紀に絶滅したオオウミガラスについての彼の知識に舌を巻いた。

「幼い頃、何よりも悲しいと感じたのは、人間の自然破壊によって多くの種が失われてしまったことだった。」こう語るディカプリオのロサンゼルスの自宅には、大量の化石コレクションが保管されている。そして三つの種を挙げたが、筆者が聞いたことがあるのはひとつだけだった。「クアッガやフクロオオカミ、ドードーみたいにね」


2014年9月、ピープルズ・クライメート・マーチに参加するディカプリオ (Photo by Rob Kim / Getty Images)

 『タイタニック』が世に出たのは1997年。 ディカプリオは有望な若手俳優のひとりから一躍、世界中で最も有名な人物のひとりになった。素行の悪さやモデルのガールフレンドたちとのつき合いが報じられるのは、避けられないことだった。まだ独身なだけに、当時のガールフレンドの中には、いまだタブロイド紙で関係を取り上げられる女性もいる。それについて本人に尋ねることもできるが、彼はこう言って取り合わないだろう。「映画は観に行くが、その俳優についてはあまり知らない頃のほうが良かったよ」

ウォーレン・ベイティやロバート・レッドフォード、ポール・ニューマンらがそうだったように、ディカプリオも単なるプレイボーイではないと思われたがっていた。そこである友人がゴアとの会合を設定。副大統領は地球と大気について黒板で概略を説明し、役者に向かってこう言った。「環境問題に関わりたいのかな?これは全人類とその将来の前に立ちはだかる最も重要な問題だよ」

最初は『アースデイ』のイベントに参加、あるいは時折会合に出席する程度だった。その後、気候変動をテーマにした2007年の映画 『 The 11th Hour 』でナレーションを務めた。そしてこの10年の間に、熱意は熱中へと変わった。「かかり切りになってるよ」とディカプリオ。「この問題について考えない時間はほとんどない。危機はじわじわと迫って来ている。『エイリアンが来週地球を侵略しに来るから、立ち上がってこの国を守るために戦わなきゃ』なんて話じゃない。でも、この問題からは逃げられないし、だからこそ恐ろしいんだ」

数年前、ディカプリオは顔見知りだった俳優フィッシャー・スティーヴンスと再会した。かつてミシェル・ファイファーとの関係が話題になり、『ショート・サーキット2 がんばれ! ジョニー5』で道徳的に問題のあるスターを演じたスティーヴンスだが、今やドキュメンタリーのプロデューサーとして成功を収めている。ふたりはガラパゴス諸島で消えゆくサンゴ礁の撮影をしながら旧交を温めた。撮影中、ディカプリオのスキューバタンクが故障するというアクシデントが、その仕事を忘れられないものにした。彼は必死になって助けを求め、その場にいたエドワード・ノートンがエアをディカプリオと分け合いながらゆっくりと海面へ浮上し、おかげでディカプリオは減圧症を起こさずに済んだ。
Translation by Takamune Murase

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