レオナルド・ディカプリオ、ロングインタヴュー(前編):気候変動問題とレヴェナント制作秘話

By STEPHEN RODRICK 2016/04月号 P126〜131 |
PHOTOGRAPH BY MARK SELIGER

肩の力を抜けと友人は言うかもしれないが、ディカプリオは耳を貸さないだろう。「一般人で気候変動について彼ほど理解しているヤツはほとんどいない。レオはガリ勉だよ」。こう評するマーク・ラファロは、ソリューションズ・プロジェクトでディカプリオと協力したばかり。アメリカで使用されるエネルギーすべてを再生可能エネルギーに替えることを目指す、スターと科学者で構成されるグループだ。「彼は命懸けでやっているよ」

「人生は残酷で短い」というディカプリオの人生観は、彼が『タイタニック』後に出演を決めた映画の選択にも見てとれる。特にスコセッシ監督とコンビを組んだ『ギャング・オブ・ニューヨーク』から『ウルフ・オブ・ウォールストリート』までの作品には、それが色濃く表れている。最新の主演作は『レヴェナント:蘇えりし者』。怒り狂ったグリズリーベアに重傷を負わされ、残忍な白人に家族を奪われたハンター、ヒュー・グラスの復讐劇だ(大変な役であるのに加え、モーゼのようなあごひげを着ける必要まであった)。

グラスは大ケガした状態で仲間の男に裏切られ、置き去りにされる。しかし馬に乗って崖を下り、その馬の遺骸の中で一晩を過ごし、バイソンの肝を口にして生きながらえる。何週間も押し黙ったままだ。だがそんなシーンはまだ序の口にすぎない。映画の中には、矢が当たって動脈が破裂したり、睾丸がナイフでそぎ落とされる場面もある。カナディアンロッキーとアルゼンチンで、アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督は、『フィッツカラルド』(船を山越えさせる作品)を思わせるほどの壮大なスケールで撮影を敢行し、クルーたちは疲労困憊した。イニャリトゥ監督によると、彼とディカプリオは撮影が中断している間、自分のひげを噛みながら時間をつぶしたそうだ。

そんな経験をした後で、彼が『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』のような軽いコメディに出演するだろうか? それはちょっと考 えられない。


本インタヴューが掲載された、米ローリングストーン誌2016年1月28日号(Photograph by Mark Seliger)

「もっと暗いのをやりたいんだ」と悪そうに微笑むディカプリオ。彼自身も、少し常軌を逸しているように聞こえることを知っている。「よくわからないけど、例えば『タクシードライバー』 のトラヴィス・ビックルみたいな人の心は、どうしたら理解できるのか?って思うんだ。ドイツ語には『シャーデンフロイデ』という、英語にはない単語がある。人の不幸は蜜の味、みたいな意味なんだけどね。」ニヤリとしながら、「一部の政治家を見ていると、時にこの言葉を思い出す。だけど映画でもそういった場面ってあるだろ。例えば、トラヴィス・ビックルが(シビル・シェパードを)初デートでポルノ映画館へ連れて行くところとか。「おいおい、頼むからやめてくれよ!」なんて思うよね」
Translation by Takamune Murase

RECOMMENDED

TREND