レオナルド・ディカプリオ、ロングインタヴュー(前編):気候変動問題とレヴェナント制作秘話

By STEPHEN RODRICK 2016/04月号 P126〜131 |
PHOTOGRAPH BY MARK SELIGER
映画『レヴェナント:蘇えりし者』での演技が高く評価されているレオナルド・ディカプリオ。『バードマンあるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡』でアカデミー賞作品賞ほかを受賞したアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督の最新作で彼が扮するのは、復讐に燃えるハンターの役。ここ数年の出演作で最も魅惑的な演技を披露しているが、彼の頭にあるのは芝居のことだけではなかった。

レオナルド・ウィルヘルム・ディカプリオが赤ん坊だった頃、両親は、1970年代当時はまだみすぼらしかったロサンゼルス郊外のイーストハリウッドに居を構えていた。ベビーベッドの上には、絵画が飾られていた。『ピーターラビット』や『おさるのジョージ』の絵ではない。オランダの画家ヒエロニムス・ボスの三面画『快楽の園』の複製である。エデンの園が見つかり、失われていくさまを、悲観論的な視点から描いたものだ。ディカプリオの最初の記憶の中にはこの絵が存在する。

「アダムとイヴにパラダイスが与えられている」。店名に『SoHo』と入ったマイアミビーチのレストランで、ディカプリオはサングラスの上から青い瞳をのぞかせて説明した。テーブルの下では、キャンバスのローファーから落ち着きなく足を出し入れしている。しばらく物思いにふけるディカプリオ。彼は、現在撮影中の気候変動をテーマにした映画についてのインタヴューを終えたばかりだった(仮タイトルは『 Are We Fucked? 〈我々はもう終わりか?〉』)。インドの氾濫原や北極冠は既に訪れたという。現在地からそれほど離れていない場所には、彼がかつてマイアミに来ると遊んでいた歓楽街(とあるナイトクラブでは、VIPルームの女性をひとり残らず持ち帰ったという伝説が残されている)があるが、ディカプリオに言わせれば、それらすべては流され、消え失せるかもしれないそうだ。

話は絵画に戻った。「中央には人口過剰になり、人であふれかえっている世界がある。人々はその環境の中で与えられた果実を楽しんでいる」。悲しげに笑うディカプリオ。ともすれば、あざけっているようにも思われかねない笑顔だ。「そして最後のパネルには、焦げた黒い空と焼き尽くされた世界の終末が描かれている」。再び沈黙し、肩をすぼめて言った。「ボクが大好きだった絵さ」
レオナルド・ディカプリオは、地球の母たる役目と娯楽の創造主たる役目のはざまにいる。しかし彼は、目前に迫ったオスカー獲得、自慢の化石コレクション、レンタル中の運転手つき電気自動車『テスラ』といった自分の輝かしい人生と、地球の暗い未来の間で、ただ不満げに身もだえしているわけではない。地球は高温化し(にもかかわらず、温暖化説に否定的な共和党議員らと共存しなければならない)、バングラディシュの海岸は2050までに4分の1近くが海面下に沈むとされる。ディカプリオはそういった問題に向き合い、化石燃料の使用を一切やめるよう人々を促し、イラク戦争に投じた何十億ドルもの資金を再生可能エネルギーの開発に向けるべきではなかったかと問いかけている。

「彼は知識に関して貪欲だ」。長年一緒に映画を作ってきたマーティン・スコセッシは言う。「活字やテキストデータをむさぼるように読み、情報を取り込んでいる」
Translation by Takamune Murase

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