2016年『ロックの殿堂』セレモニー総括:N.W.A.、チープ・トリック・ディープ・パープルが受賞

この日、シカゴの元ベーシストでヴォーカリストのピーター・セテラが姿を見せることはなかった。どのキーでパフォーマンスするかで意見が食い違ったことが理由の一つだ。一方で他の有名メンバーは式典に出席した。全員がスピーチをしたが、その中でも一番の名スピーチをしたのは、90年代のバンドの華やかな成功に貢献した元ドラマーのダニー・セラフィンだった。「バンドの多くがそうであるように、俺たちは一緒に生活して、泣いて、喧嘩して、セックスしてきた」ダニーはこう言うと、さらに続けた。「"切り上げろって?"黙ってろ。俺はこのために25年も待ってたんだぞ!」

この夜最初のリユニオンが実現したステージでは、ダニーがかつての定位置であるドラムキットの後ろに座り、『サタデイ・イン・ザ・パーク』、『いったい現実を把握している者はいるだろうか?』、『長い夜』のビートを刻んだ。シカゴ嫌いであっても、『長い夜』のパワーを認めざるを得ないだろう。最も意外なところでいうと、あのグリーン・デイの『ブレイン・シチュー』も同曲にとても良く似ているのだから。このピーターの曲を、ピーターが昔のバンドメンバーと一緒に、最後にもう一度だけ演奏してくれていたら、どれだけ素晴らしかっただろうか。式典はピーターにとって、スポットライトを再び浴び、魔法のような時間を作る絶好の機会だった。しかし彼はこのチャンス逃してしまったのだ。




チープ・トリックはというと、ピーターと同じ間違いを犯さなかった。元ドラマーのバン・E・カルロスとの根深い確執がありながらも、メンバー4人全員で華麗なパフォーマンスをやってのけた。またパフォーマンスに先立って、キッド・ロックがスピーチを行っている。「ディスコとソフトロックがラジオを独占してた時、幸運にも俺はまだこの世に生まれてなかったんだけど、まさに彼らこそ必要とされた才能を秘めたガレージバンドだったんだ。」こう言って会場の笑いを誘い、さらに「彼らはパンク精神、ポップなビート、ビートルズのエネルギーを持ち合わせていたんだ」とスピーチを続けた。






Photo by Jeff Kravitz/FilmMagic


Translation by Miori Aien

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