オバマが語る最後の挑戦(後編):気候変動に立ち向かう

By JEFF GOODELL
Photo by Isaac Brekken/Getty Images for National Clean Energy Summit

―最近、安全保障問題として気候変動を語ることが増えています。気候変動が国内の安全保障に対する課題やリスクであるなら、それとISISあるいはイランの問題はどう比較できるでしょうか?


それらはまた別だ。大統領兼軍最高司令官としてはどちらも重要な問題だ。気候変動に関しては、干ばつや洪水が増え、海岸線が後退することで、農業にも影響が及ぶということがわかっている。世界の一部では食糧難が深刻化し、大勢の人々が移住を強いられることになる。


今日、我々が空から見た(キバリナ)島の人々は移住し得る。住民には苦痛を伴うだろうが、実現させることはできる。しかし、南アジアのモンスーンのパターンが変わった場合、難民や紛争を生み出すことなく数千万人を移住させることは不可能だ。世界の混乱が深まるほど、安全保障上の問題は増える。実際に、例えば今シリアで起きていることの元凶は、記録的干ばつだという議論がある。それにより農村から大量の人々が都市部に流れ込み、政治への抗議を引き起こし、アサド大統領は考えられる限りの最も非道な方法で対応したというわけだ。


我々が安全保障上の問題として注視しているのは、気候変動のそういった側面だ。人間の歴史を振り返ってみると、表れる形はさまざまだが、重度の緊張下に置かれた大勢の民衆は悪しき反応を見せることがわかっている。ナショナリズムという形をとることもあれば、戦争という形をとることもある。外国人排斥主義や移民排斥主義、テロリズムとして表れることもある。いずれにしても、もし可能であるなら避けたいと思うべきものだ」

―12月のパリでの国際会議は、あなたにとっては現在の大きな関心事であるかと思います。気候変動を緩和すべく、世界が結束し、行動に出るための最後かつ絶好のチャンスかもしれません。パリでの成功をどのように定義されますか?


他の国が"これは真剣だ"と思うような積極的な目標を二酸化炭素の主要排出国が示し、基本的な枠組みを作ることができれば、成功と言えるだろう。
具体的な数字はそれほど気にしていない。今、各国がどんな目標を明示したところで、科学データが求める水準にはまだ届かないからだ。だからこの国は1%多い、あの国は1%足りないなどが交渉決裂の要因にはならない。まずは誰もが真剣に努力し、うまく定義され、測定もできる国際的な取り組みを作るようにすることだ。そうすれば、毎年進捗を確認する土台ができるし、例えば今から5年後に"科学データが新しくなっている。目標を上げる必要がある"と言うこともできる。その頃には、研究開発の成果で今より野心的な目標を達成できるようになっているはずだ。


例えば我々が定めた太陽光発電の計画は、当時はとても大胆に思えた。もし2007年から2008年の間に、コストが現在の水準まで下がると教えられたなら、エネルギー長官だったスティーヴ・チューでさえ、「それはかなりクレイジーだ」と言っただろう。だがコストは実際に下がった。地域によって差はあるが、2014年だけで10~20%下がったと思う。狙いを一点に絞れば、人間は創意工夫をして驚異的な結果を生み出すのだ。
 パリ会議で重要なのは、とにかく全員を関与させ、「自分たちはこれをやる」と言わせることだ。そこまで辿り着ければ、すべてが動き始める。取り組みにも勢いがついて、科学の声により注意深く、耳を傾けるようになると思う。人々が結果を恐れず、達成可能なことについて冷ややかに考えることがなくなるからかもしれない。希望は希望につながる。成功は成功を生み出すのだ。


―資本主義の話を聞いて、ローマ法王のことを思い出しました。法王は気候変動について語り、パリ会議に弾みをつけようとしています。

私は、法王のことが大好きだよ。


―個人的にですか?


そうさ、彼はいい人だ。多くの問題で正しいことを言っている。
Translation by Takamune Murase

RECOMMENDED

TREND