オバマが語る最後の挑戦(前編):気候変動に立ち向かう

By JEFF GOODELL
Photograph by Mark Seliger

原子力エネルギー――我々は南部で原子力発電所の建設を承認した。この決定について好ましく思っていない環境保護活動家はいる。だが、福島で目にしたリスクを認識する一方、気候変動の問題を解決しようとするなら、多くの国々のためにどこかでエネルギーを作る必要があるということも認めなければならない。

バランスの問題は常に存在する。これは他にも言えることだ。大統領就任時、私はDADT(Don’t Ask, Don’t Tell、軍隊内で同性愛者であるかどうかを“聞くな”“言うな”)法を撤廃する意向を明確に持っていた。多くの人に“今すぐやめにしたらいいじゃないか”と言われたが、私は2年をかけて国防省内でコンセンサスを築いた。実際に撤廃した頃には統合参謀本部議長も支持してくれて、非常にやりやすくなっていた。

―問題はやはり、気候変動は物理的な側面も伴うため、他とは毛色が違うということではないでしょうか? 地球温暖化はコンセンサスが出来上がるのを待ってくれません。

それはわかる。我々はこの問題をしっかり把握しようとしているし、それはできると思う。だが、ある事実も考慮に入れなければならない。今の平均的アメリカ人は、気候変動を否定まではしなくなったものの、依然としてガス料金や、快適に通勤することの方にずっと大きな関心を抱いている。気候変動についてどう語るか、さまざまな利害関係者とどう折り合いをつけていくかを戦略的に考えなければ、煽動に翻弄され、結果的に取り組みは速まるどころか遅くなるだろう。

科学的なデータは変動しない。緊急性は変わらない。私の仕事のひとつは、A地点からB地点に最も速く到達できる道――クリーンエネルギー経済の達成点に達するベストの道を考え出すことだ。政治にかかわっていない人はこう言うかもしれない。"2点を結ぶ最短の線は直線だ。まっすぐ突き進もう"。残念ながら民主主義社会では、時にはジグザグに進み、不安を抱く人や利害関係を持つ人にも配慮することが必要だ。

1期目の初めにキャップ・アンド・トレード法案でつまずいた理由のひとつは、当時あまりにも多くのことを同時進行させていたためだった。国民の頭を占めていたのは、景気回復や失業者を減らすことだった。気候変動に関心を持っていたかもしれない議員も、大量の失業者を目にしたり、(ダーティエネルギーからクリーンエネルギーへの移行が特に高くつく)工業が盛んな州の出身の場合は、法案に賛成票を投じることが優先すべきものとは思えなかった。我々は、法案を通すために必要なコンセンサスも十分に得られなかった。
Translation by Takamune Murase

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