オバマが語る最後の挑戦(前編):気候変動に立ち向かう

By JEFF GOODELL
Photograph by Mark Seliger

―あなたはここアラスカで、二酸化炭素排出量を速やかに削減しない場合、我々が直面し得る未来について語りました。まるでこの世の終わりが迫っているかのような物言いでしたが、同時に最近、アラスカでの新たな石油採掘も承認しています。この決定をどう正当化するおつもりでしょう?


その話は環境保護団体と続けている。大統領という仕事は、何事も一から始めるわけにはいかない。常にさまざまなレガシー(遺産)と向き合わなければならないんだ。もちろん、化石燃料の経済は世界中の人々の生活に深く入り込んでいる。だから初めから、これは一晩で移行できることではないと常々訴えてきた。

科学の示す緊急性を私がどれだけ感じていようと、政治的なコンセンサスを築けないまま吠えてみたところで、何も成し遂げられない。実際、アクションを起こす必要性を認めつつ、同時にそこから利益を得ている支持者らをないがしろにする結果にもなりかねない。

アラスカは興味深い例だと思う。我々が対話してきた先住民族の人々は、気候変動がもたらす生活への悪影響を肌身に感じる一方、困窮した地域での雇用創出や経済発展にとても関心を持っている。気候変動について私に話をしてくれた人が、こんなことも言うんだ。「私たちが心から願っているのは、経済発展を促すようなやり方で自分たちの天然資源を使うことです」。これはアメリカ全体の縮図であり、世界全体の縮図でもある。

私はクリーンエネルギー計画をもっと速やかに前進させるため、使える手段は何でも使うという戦略をとってきた。行動を速めることで、一人一人が負担する移行のコストを減らせる。実は多くの場合、個人も企業も金を節約できる。そうすることで、経済発展と地球保護の間の矛盾は小さくなっていく。

我々自身の化石燃料の生産については、気候のみならず環境にも悪く、またはリスクが高すぎるため、行わない場合があると言ってきた。今日立ち寄ったブリストル湾はその好例だ。アリューシャン列島付近では、湾の環境を脅かすようなやり方で石油やガス採掘をすることはできない。それは州北部についても同じだ。


もし一定のエネルギー生産を続けていくのなら、貴重な生態系を乱す可能性が最も小さい場所を見つけ、生産を完全にやめさせるのでなく、基準を引き上げて生産コストを高めてしまうというやり方もある。それにより、気候変動を否定する人や、資源をいつでもどこでも掘り、探し、採取する権利を強硬に主張する人だけではなく、この問題について態度を決めかねている人などとも話し合うことができる。

また、非常に重要なことがある場合でも、プロセスも考慮すべきだと思う。我々全員を脅かしているものがあるなら、まずはみんなを議論に引き入れなければならない。(天然ガスの採取法である)フラッキングなどについても同じ議論があった。科学の示すところによると、正しく行いさえすれば、フラッキングに伴うリスクは最小化できる。天然ガスは化石燃料だ。アメリカで新しい石炭火力発電所の建設が減ったのは、クリーン発電所ルールが整備されたからというだけではない。天然ガスの方が非常に安価で経済的だからだ。そういう選択をしていく必要がある。

カナーカナック海岸を訪れたオバマ大統領(Pete Souza/White House)
Translation by Takamune Murase

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