オバマが語る最後の挑戦(前編):気候変動に立ち向かう

By JEFF GOODELL
Photograph by Mark Seliger

気候変動の問題について、オバマはいつも口はうまいが行動が伴わないという評価をされてきた。2008年の大統領選挙では、二酸化炭素排出量の削減とキャップ・アンド・トレード方式による排出量取引の立法化を掲げていたが、切迫感はなかった(同年の選挙キャンペーン中、オバマはクリーンコールを支持。石炭の効率的利用を意味するこの言葉は、石炭関連産業の流行語であり、政治的には「中西部の有権者の皆さん、安心してください。気候変動問題なんかに真面目に取り組む気はありません」という意味でもあった)。就任1年目、オバマはコペンハーゲンで開かれた気候変動に関する国際会議の土壇場で合意を取りまとめたが、1期目の最優先課題は気候問題への取り組みの法制化でなく、医療保険制度改革とすることを決めた。しかし経済が失速すると、総額8000億ドルの景気刺激策を打ち出し、これがアメリカのクリーンテクノロジー革命を活性化させ、風力、太陽光などの再生可能エネルギーへの投資に資金が流れ込む結果となった。また自動車業界を救済して作った貸しを乗用車などの燃費基準を2倍に引き上げることに利用した。


とは言え2010年の中間選挙後、共和党が勢力を伸ばした議会では、温暖化否定論者が多数を占めるようになった。オバマは議会と対立して、公権力を用いてまで気候変動に対するアクションをとろうとはせず、問題には積極的に触れないまま1期目の残りを過ごした。

しかしそういった姿勢は2期目に入ると変わった。「2013年の就任演説がターニングポイントだった」と上級顧問のブライアン・ディーズは指摘する。「彼は原稿を政策スタッフに頼らず、ほとんど自分で書いていた。彼の考え方の変化がはっきり表れている」。このスピーチで、オバマは今すぐ行動をとるべきだと訴えた。「我々は我々自身に対してだけでなく、子孫に対してもアメリカ人としての義務を負っています。気候変動の脅威に立ち向かっていきましょう。そうしなければ子供たちや未来の世代を裏切ることになるのですから」


言葉は行動に移された。2013年6月、オバマは75項目にも及ぶ詳細な気候問題アクションプランを発表した。連邦政府はこれを皮切りに態度をガラっと変え、気候変動の問題を真剣に考え始めた。2014年初頭に上級顧問として迎え入れたポデスタの力添えで、オバマも一連の大統領令を出し、これによって議会の承認を回避、同時に国内の二酸化炭素排出量削減に真面目に取り組む姿勢を示した。同じく重要なアクションとして、オバマは排出量削減に関して中国の同意をとりつけ、国際政治上のボトルネックを解消するともに、取り組み強化に対する主な反対論(「中国が何もしてないのに、なぜ自分たちがやるべきなのか?」)の一角を崩した。さらに2015年に入って、クリーンパワープランを導入。これは環境保護庁の主導の下、発電所の二酸化炭素排出量を2030年までに32%削減しようというものだ。


ディリングハム空港に訪れたオバマ大統領(Pete Souza/White House)
Translation by Takamune Murase

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