オバマが語る最後の挑戦(前編):気候変動に立ち向かう

By JEFF GOODELL
Photograph by Mark Seliger
大統領選をめぐる騒動もかまびすしい中、オバマ大統領はレガシー作りに勤しんでいた。これまでも数々の重要な改革を成し遂げたオバマ、最後の総仕上げは環境問題だ。

アラスカ滞在中、オバマ大統領は終始上機嫌だった。2015年の夏の終わり(8月の終わりから9月頭にかけて)にこの米国最北の州を訪れたのは、世界が直面しつつある気候変動の問題への関心を高めるためだった。しかし、この世の終わりが迫っているかのように危機を訴えた公式スピーチを除けば、笑顔を絶やさずに3日間のほとんどを過ごした。「オリから出されてご機嫌のようだ」と、側近のひとりはおどけた。アメリカ経済が好調だからと言う者もいれば、腐心したイラン核問題をめぐる最終合意を上院の共和党議員に覆されない見通しがついたからだと言う者もいた。

理由は何であれ、オバマの表情は明るい。この日も、アンカレッジのエルメンドルフ空軍基地で専用の装甲リムジンを降りた瞬間からそうだった。数百万エーカーを焼いた山火事の煙のせいで、大気はかすんでいた。満面の笑みで地元政界の幹部と握手を交わした後、タラップを上ってエアフォースワン(大統領専用機)に乗り込む。ノースーツにノーネクタイ――3日間のツアーの最終日の装いは、ブラックのアウトドアパンツ、グレーのプルオーバーの上にカーハートのジャケットというアドベンチャースタイルだった。

向かう先は北部のコツェブー。北極圏に入って48キロほどの場所にある村で、永久凍土の融解、海面の上昇、高潮の増大という気候変動の三重苦に悩まされている。ホワイトハウスのプレスリリースやビデオブログで指摘されたように、今回の周遊は歴史的なものだった――オバマは在任中に北極圏を訪問した初めての大統領となった。そればかりか、人類文明の終わりについて語る自分の動画を自撮り棒を使って撮影した初の大統領にもなった。


Pete Souza/White House
Translation by Takamune Murase

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