ソニー、マイケル・ジャクソン財団が保有するSony/ATVの株式取得へ

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ビートルズの著作権を管理する音楽出版社の持ち株を7億5000万ドルで売却


ソニーは、故キング・オブ・ポップが所有する音楽出版社、Sony/ATVミュージック・パブリッシングの株式50%を、マイケル・ジャクソンの遺産管理団体から買い取ることに同意した。21年前にジャクソンとソニーが共同出資して設立したSony/ATVの売却で、ジャクソン財団は7億5000万ドルの利益を得ることになる。ビルボード誌によると、ジャクソン財団は、EMIミュージック・パブリッシングの株式10%を引き続き保有する。またジャクソンが作曲した楽曲や、マスター音源の著作権を所有するMijac Musicもこのまま存続させるという。

「この取引によって、マイケル・ジャクソン氏の子供たちのために、同氏の遺産価値を最大限に生かすよう、取り組みを継続することができます」ジャクソン財団の共同遺言執行者であるジョン・ブランカ及びジョン・マクレーンは、声明を発表した。「また今回、音楽出版への投資という、マイケル・ジャクソン氏の先見性と才能が改めて実証されました。同氏が1985年に4150万ドルで取得したATVの管理楽曲はSony/ATVの事業の礎でした。そして、今回の取引が示すとおり、このカタログは音楽史において、最も成果を挙げた投資の1つと言えるでしょう。」

ジャクソンは1985年、ビートルズの主要な楽曲の著作権を持つATVミュージック・パブリッシングを、ポール・マッカートニーとの買収合戦の末、4150万ドルで購入した。その11年後、彼が所有していたATVはソニー・ミュージックと合併し、Sony/ATVを設立。2012年にソニーが買収したEMIミュージック・パブリッシングも加わり、この合併会社の主要事業となった。

フォーチュン誌によると、Sony/ATVの契約には、一方の所有者がもう一方の所有者の持分を買い取ることができるという条項があり、ソニーは2015年9月にこの権利を行使した。そしてその翌月、ウォール・ストリート・ジャーナルは、ソニーが、事業価値およそ20億ドルと推定されるSony/ATVの株式の半数を売却する計画を進めていると報じた。

ソニーのCEOであるマイケル・リントンは声明の中で、「今回の取得により、ソニーは音楽出版事業における変化により迅速に対応できるようになるでしょう。またそれと同時に、これからも業界最高のリーダー、そしてアーティストやソングライターを支える存在であり続ける所存です」と述べた。彼によると、本取引に関する契約は3月31日までに締結する予定である。

今回、Sony/ATVの売却でジャクソン財団が得る7億5000万ドルは、彼が09年に亡くなった時点で抱えていた5億ドルという巨額の負債の返済に一部充てられ、税金、手数料及び諸経費を差し引いた額が、3人の子供の信託財産となる。

Translation by Aki Urushihara

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