エマーソン・レイク・アンド・パーマーの名曲10選

『タルカス/Tarkus』(1971)


ELPは決して控えめなグループではない。『タルカス』を聴けばそれが明白に分かるはずだ。彼らのセカンド・アルバムのA面は、全7楽章からなる組曲で、演奏時間は20分を超える。想像上の生き物を中心に展開する神話的なプログレのスプロールに、フュージョンとクラシックの要素を取り入れた楽曲である。イギリスのディスク誌のインタヴューによると、"タルカス"は、エマーソンがひらめいた名前だという。「俺はこの生き物に名前をつけるのに、ありとあらゆるギリシャ神話の本を読んだよ」彼は語った。「でも何も思いつかなかった。だけどある晩、ギグが終わって車で家に帰る途中にふと浮かんだんだ。俺が"タルカスにしよう"というと、他のメンバーは"タルカス? "って。まあそんなところだよ」ウィリアム・ニールがアルバムのジャケットに描いたこのタルカスのストーリーは、エマーソンの巧みで聴きごたえのあるキーボードが特徴的な曲の中で展開する。

『フロム・ザ・ビギニング/From the Beginning』(1972)


アルバム『トリロジー』に収録されている『フロム・ザ・ビギニング』は、グレッグ・レイクの移り気なアコースティック・ギターとヴォーカルのショーケースそのものだが、ラストに注目すべきエマーソンのソロ・パートが入っている。曲の終盤になると、まばらでシンプルなサウンドは、エマーソンが演奏する宇宙音のようなシンセサイザー・ジャムによって異次元へと導かれる。シンセサイザーがランダムに作りだす多重音効果で、ドーン・コーラスのようなシンフォニーは、親近感のあるラブソングから、ビッグ・バンに何か関係があるような音楽へと、曲のスケールを広げていく。全米シングル・チャートでバンドの最高記録を打ち出した『フロム・ザ・ビギニング』。この曲により人々のモーグへの関心が高まり、エマーソンのシンセサイザーと共に、ELPは伝説に残るバンドへと成長していった。

Translation by Aki Urushihara

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