ザ・プロディジーがEDMを強烈に批判「退屈でくだらない音楽だ」

ーマストドン等の最近のバンドよりも、そういうクラシックな作品を聴くことの方が多い?

マストドンは好きだよ。でもやっぱり尖ったエレクトロニックミュージックの方が好みなんだ。最近はまたドラムンベースをたくさん聴き始めたよ。俺にとってはそれはアンダーグラウンドの音楽の代名詞みたいなものなんだ。何十年も変わらずにアンダーグラウンドであり続ける唯一のダンスミュージックと言っていいだろうね。ダブステップは一過性のブームで終わってしまった。ドラムンベースだって90年代にはそうなりかけたけど、今もこうして生き残ってるんだ。

ーDJスネークの『ターン・ダウン・フォー・ワット』はどう思いますか?

いい曲だよね。あれはポップミュージックというよりヒップホップに近いから好きなんだ。少し前までトラップとかやってた連中は、最近みんなハウスに走り始めてるけどね。

ー『スマック・マイ・ビッチ・アップ』が「隠れたクラシック」と言われることについてどう感じていますか?

俺たちのアメリカでの活動歴を考えれば仕方ないかもな。でもヨーロッパやイギリスじゃ、あの曲はアンセムとして扱われてるんだよ。イギリスではハウス系のパーティでかかることだってある。あの曲は誰もが持ってる本能に訴えかけるような、原始的な何かを持ってるんだよ。

ー1997年頃のアメリカでは、決してあなたたちの代表曲としては認識されていなかったと思います。しかし時間の経過とともに、その印象が変化していきました。

『ブリーズ』や『ファイアスターター』ではキース(・フリント)とマキシムの存在が際立ってるけど、『スマック・マイ・ビッチ・アップ』にはフロントマンがいないからね。DJのための曲っていう印象が強いのかもしれない。『ファイアスターター』みたいなのとは違って、そういう曲はより時代に流されにくいんだよ。

ーアルバムの最終曲『ザ・ウォール・オブ・デス』は、モッシュピットのオーディエンスにインスパイアされた曲なのでしょうか?

そういう部分はあるね。間違いなく曲の一部になっていると思う。でも不思議なことに、実際にあの曲でモッシュするオーディエンスは見たことがないんだよ。俺はドイツのオーディエンスが世界でいちばんクレイジーだと思ってるんだ。モッシュピットの熱気がマジでヤバいんだよ。だからどこに行っても必ずドイツのオーディエンスと比較してしまうんだけど、彼らでさえあの曲でモッシュすることはないんだよね。でもあれがモッシュピットにインスパイアされた曲であることは確かだよ。実はあの曲の歌詞ができた当時、俺とキースの関係がうまくいってなかったんだ。だからあの歌詞は俺に向けた部分もあったのかもしれない。アルバムの制作は本当に大変だったよ。当時俺とキースはあらゆることで意見が対立していたんだ。でもアルバムを完成させたことで、その緊張関係を和らげることができた。だからなおさら嬉しかったんだ。

ー今後の展望について教えて下さい。

しばらく休んでリフレッシュしたから、またスタジオに入ろうと思ってるよ。実を言うと、もうアルバムっていうフォーマットとは決別しようと思ってるんだ。時間がかかりすぎるからね。完成させた曲はすぐファンと共有する、今はそういう時代なんだよ。だから今後はEPを中心にリリースしていく予定だよ。音楽業界なんていうものがまだ存在するとすればだけど、今は転換期を迎えているからね。4曲入りのEPを完成させて、それをファンが楽しんでくれている間にまた新しいEPを作る、そういうサイクルが理想的だと思うんだ。作品の制作期間を長引かせすぎないことは、ファンにとってだけじゃなく、アーティストにとってもすごくいいことなんだよ。

Translation by Masaaki Yoshida

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