ボウイ・トリビュート舞台裏:ナイル・ロジャースが語る「全てはアート」の誕生秘話

ーつまり過去の経験が、今回のパフォーマンスをまとめる際にとても役立ったということですか?

グラミー賞授賞式は本当にすごくユニークだったと思う。僕たちはこのボウイ・トリビュートで、年代順にやりながらも彼のキャリアの全ての段階を称えるっていうガガのコンセプトを表現したんだ。「ほら、こんな時期やあんな時期があっただろ。」って言いながら。一番始めは『スペース・オディティ』で、次に奇抜な『ジギー・スターダスト』の時代。彼女はある意味、彼になりきってさえいた。(山本)寛斎の取り外せるケープを、引きはがしたり同じ動きをしてね。ガガがこれを考えたのは、本番の1日、2日前だった。本当に「3、2、1」の合図の直前まで、僕たちは調整してたよ。それからインテルのテクノロジーで、完全に動きを止めたガガの顔の上にデヴィッドの顔をプロジェクションマッピングをして変身したんだ。

ーパフォーマンスで使ったテクノロジーについて、もっと詳しく聞かせてもらえますか?いろいろなことが起きていたように見えました。

リハーサルスタジオは、みんなコンピュータの前に座っていたし、大げさじゃなくまさに宇宙にロケットを打ち上げるNASAの管制室みたいだった。気付かなかっただろうけど、僕はギターの後ろにセンサーをつけていたし、ガガは指に指輪を2つはめて、それがセンサーになってたんだ。インテルが開発した新しいテクノロジーで『Curie(キュリー)』っていうんだ。センサーが僕たちの後ろの映像をコントロールするから、映像を映し出すためにガガと僕には決まった振り付けをしたんだよ。

ー音楽ディレクターとして、メドレーをアレンジして完成させたり、担当パートを覚えるのにどれくらいの時間がかかりましたか?

テクノロジーのこともあったから2週間かかったよ。曲を覚えるだけだったり、ステージで楽譜も使えるんだったら、1日とか2時間とかでできたと思うけど、それ以上のことだったからね。最初はステージにいる17人全員、ガガでさえ楽譜を使っていたよ。オーケストラとアンサンブルのメンバーも全員、正しい曲のサウンドになるようにアレンジを確かめながらだったんだけど、頼れるものを使えないライブってなると、やるべきことが増えるんだ。細かい点にも細心の注意を払いながらプレイして、曲の正しい雰囲気を出すように努力して、それからキーを変えたんだ。多くのロックンロールの曲って、楽器人間工学を中心に作られていてね。例えば、『レベル・レベル』はギターはオープンDを使うけど、普通はそれ意外に弾く方法はなんてないんだ。でも幸いにも、他の方法で近いサウンドをまねることができて。僕は枠にはまらない男だから、ごまかす方法を見つけることができたんだ。

Translation by Miori Aien

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