ローリングストーンズの必聴ブート盤5選

『A Rolling Stone Gathers No Moss』(1967)

いや、それとも転がる石にも苔はむすだろうか?ホノルルのライブの翌年、ストーンズも含めみんながスタジオでの大げさな手品を企んでいるときに、彼らは春にパリで公演を行い、ステージ上で『ゴーイン・ホーム』の快活なホーンを再現しようとした。また、これもまれなことであるが『夜をぶっとばせ』や彼らがライブで挑戦する曲目の中ではトリッキーな作品『ルビー・チューズディ』のライブバージョンも収録されている。そしてサマー・オブ・ラブが近づく中、当時のジャガーの声はまるで誰かを殴ろうとしているかのように聞こえる。

『San Diego ’69』(1969)

ストーンズの1969年のツアーからは『Ya-Ya』と『Live’r Than You’ll Ever Be』という2枚のブート盤が作られた。オークランドで録音された『Live’r Than You’ll Ever Be』は初期のブート盤として重要なものであるが、11月10日のサンディエゴでの演奏を元に作られたこの作品はすべてが優れている。そう、音はこもっている。しかしここでの『悪魔を憐れむ歌』のような演奏を抑えられるものは何もない。最初はリチャーズのソロ、そして次にテイラーが入る。そして、豪胆さから風を切って現れるラストの部分は彼らの演奏でも最も強烈なものであろう。

『Philadelphia Special』 (1972)

これは1972年7月にフィラデルフィアで2回行われたコンサートを記録したブート盤である。そしてリーズでの演奏と並べて、このバンドの最高のレコーディングとしてあげることができる作品だ。この作品のストーンズは崖っぷちすれすれまで疾走している。ブルースの実験をしていた輝くような初期の時期から積み重ねてきたものよりも、速い演奏だ。しかしここでは、それに巧みさが加わっている。その大部分はミック・タイラーに起因する。『オール・ダウン・ザ・ライン』は『メイン・ストリートのならず者』のバージョンより熱い。『リップ・ディス・ジョイント』も同様だ。『バイ・バイ・ジョニー』はこのブート盤におけるチャック・ベリーへの贈り物であり、リーズでの『レット・イット・ロック』にあたる。この作品以上に惹きつけられる作品はない。



Translation by Yoko Nagasaka

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