―ではレコーディングのプロセスも今回は違ったのでしょうか?
テーマやヴィジョンを持つことなく、ただ生まれてきたものを形にしていくというプロセスは同じだね。僕はある種の音楽を意識して作るようなことはしない。その点は『ゼン』も『ミュータント』も変わらない。でも心理的な部分で違いがあったのは事実だね。自分の音楽がより多くの人々と共有されるようになって、いろんなことを学んだからね。ツアーに出てたくさんライブを重ねたことも大きかった。あと私生活の面で、パートナーや友人たちとより深い関係を築くことができたことも影響していると思う。要は人間として成長したってことだね。いろんな人との出会いが外の世界に対する自分の不安を和らげてくれたこと、その変化が『ミュータント』にははっきりと表れていると思う。
―その心境の変化は収録曲のタイトルにも反映されているように思います。
『ミュータント』というタイトルは、僕の友人であるシェイン・オリヴァー(フッド・バイ・エアーの創設者)にインスパイアされたものだ。『ソウイチロウ』は僕の親友、ジェシー(・カンダ)のミドルネームだよ。彼には日本人の血が混じっているんだ。ボーナストラックの『アッシュランド』は友人のDJ、トータル・フリーダムの実名だね。あと『スネイクス』はビョークにインスパイアされて生まれた曲だよ。僕と彼女はどちらも巳年の生まれなんだけど、そのせいか彼女とはすごく波長が合うんだ。その他の曲も、僕の人生において大きな影響をもたらしてくれた人々との出会いや関わりの中で生まれてきたものばかりだよ。