アリス・クーパー、ボウイとの思い出を振り返る「よきライバルだった」

デヴィッド・ボウイ、そして作家のレイ・ブラッドベリとディナーを共にした夜について語ったアリス・クーパー (Photo: Michael Ochs Archives/Getty)

「デヴィッド・ボウイと名乗り始める前に、俺たちのライブに遊びに来たんだ。当時はまだデヴィッド・ジョーンズっていうただのガキだった」

先月デヴィッド・ボウイがこの世を去った時、アリス・クーパーは「ロックンロールの舞台を共に生きた生涯の盟友」に向けたコメントを発表した。

「俺たちはロックンロールという劇場を舞台に同じ時代を生き、時に競いながら、その歴史を作り上げていった」ハリウッド・ヴァンパイアーズとして、先日のグラミー賞でモーターヘッドの故レミー・キルミスターのトリビュート・ライブを行った彼は、ローリングストーン誌のインタビューでボウイに対する思いを語った。

「彼がデヴィッド・ボウイと名乗り始める前に、俺たちのライブに遊びに来たんだ。当時はまだデヴィッド・ジョーンズっていうただのガキだった。俺たちの悪名が轟きわたっていて、イギリスへの入国が禁止されてた頃の話だ。当時からジギー・スターダストの構想はあったみたいだが、俺たちのライブに感化された部分もあったはずさ」

当時のメディアはボウイとクーパーを頻繁に比較していたが、クーパーは彼に敵対心を抱いたことは一度もなかったという。「彼が作り上げたキャラクターは完全にオリジナルだってことを、俺はいつも強調してた。ロックンロールに物語性を持たせるそういうアプローチがもっと広がるべきだと思っていたから、俺は彼に共感していたし、当然応援していた。敵視するなんてもってのほかだね。ヤツも同じように感じてたはずさ。俺たちは敵同士じゃなく、互いに切磋琢磨するよきライバルだったんだ」

「彼はカメレオンのようだった」クーパーはそう語る。「彼はデヴィッド・ボウイの定義を常に変化させ続けた。自分をドクター・モラリティのようなミステリアスな存在で、誰も正体を知らないロック界の悪役スターにしようとしていた俺とは対照的にね。デヴィッドは最後まで自身のイメージが定着することを拒否し続けたんだ」

60年代後半に出会って以来、2人はよき友人同士だった。また『華氏451度』の著者として知られる、レイ・ブラッドベリを含めた3人でディナーに出かけたこともあったという。「あの夜のことは今でもよく覚えてる。2人ともマジでイカれてたからな」クーパーは笑ってこう続けた。「2人は量子物理学かなんかの話をしていたけど、俺はちんぷんかんぷんだったから、2人の乗ってる車のことを聞いたりしてた。マジでバカみたいだったよ!笑」

クーパーはその夜のことを振り返りながらこう続ける。「俺は2人とは違って典型的なロックスターだからな。2人の話してた内容が理解できなかったわけじゃないけど、興味がなかったんだよ。UFOとか異次元空間の話とかなら、俺ももうちょっと楽しめたんだけどな。俺は2人の会話を聞きながらただ相槌を打ってただけだったけど、実は2人のことを分析してたんだよ。もしかしたら2人はただ自分の賢さを相手に見せつけようとしているだけで、本当は全部でたらめなんじゃないかってね。そもそもすべて仮説の世界だしな。でも結局飽きてこう言ってやったんだ。「もういいだろ、そろそろ恐怖体験の話でもしようぜ」ってね。

Translation by Masaaki Yoshida

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