ジョン・スペンサーが語る人生の10曲 

By Christpher R. Weingarten
Photo: (Robin Little/Redferns/Getty)

ジョン・スペンサー・ブルース・エクスプロージョン「トーク・アバウト・ザ・ブルース」(1998年)
ローリング・ストーン誌の関係だったと思うよ。ジョー・リヴィとのインタヴューから始まったんだ。彼のことは以前、ディティールズ誌で一緒に仕事をしたから知ってたんだ。ローリング・ストーン誌はブルース特集をやっていたから、インタヴューもブルースについて話した。無事終わったよ。でも最初にすごく緊張してて、のぼせちゃったよ。その心配と緊張からあの曲が生まれたんだ。

あの時、僕らのやることなすことすべてについての正統性や妥当性があるのかって疑問で、僕らも批判され始めていたんだ。思うに、おそらくバンド名が違っていたらそんなことは起きなかった。みんな惑わされたんだ。だから、この曲はそうしたことに対する批評だし、似たようなことすべてについて歌っているんだ。

僕らはこの録音をダン・ジ・オートメーターとやったんだ。カルヴィン・ジョンソンと録音したものもいくつか使っている。カルヴィンは交換条件を出した。彼は、「君らが僕とセッションしてくれたらリミックスしてもいいよ」って。だから次に北西部のツアーをしていて、残りが2日くらいになった頃、3日間のオフがあってオリンピア(ワシントン州)に留まりカルヴィンと録音したんだ。ダブ・ナルコティックの連中が彼のハウスにいた時期だ。2、3日かけてドタバタやってできたのがKレーベルの『サイドウェイズ・ソウル』だった。だけど、カルヴィンはこれらの録音のいくつかを持っていくことを快く許してくれた。だから「トーク・アバウト・ザ・ブルース」は昔のダブ・ナルコティックのスタジオで録音したリフからサンプリングして、僕は基本的にはサンプラーをいじって、即興で歌詞をつけただけなんだ。僕はデモをそんなふうに作って、ダン・ジ・オートメーターに渡した。彼は基本的にそれをそのまま受け入れて、あちこち強化してパワフルにしたんだ。

この曲のプロモーション・ビデオは気に入ってるよ。今じゃ、どいつもこいつもコメディーふうや、セレブがカメオ出演しているビデオだ。反吐が出るね。だけど僕らのを観てよ。98年にそんなことやっちゃってるんだぜ。すごい「そっくりさん」バンドだろ!ウィノナ・ライダー、ジョン・C・ライリー、ジョヴァンニ・リビシが登場さ。

ジョン・スペンサー・ブルース・エクスプロージョン「ホット・ゴシップ」feat. チャック・D(2004年)
チャック・Dとの共演さ。誰が思いついたかい?やつはとてもスウィートなナイスガイだ。当時、確か西28番街にラッセル・シミンズのスタジオがあった。フラワー・ディストリクトにあったけど、あそこは今じゃフラワー・ディストリクトですらないね。とにかく彼はスタジオを持っていて、15階ぐらいにそれはあって、窓のひとつからはエンパイア・ステート・ビルが見えたんだ。『ダメージ』(2004年)はそこで書いた。実は『プラスティック・ファング』(2002年)と『ダメージ』の間にはもうひとつお蔵入りしたアルバムがあったんだ。僕らは世に出そうとしていた。僕らはそれをいつも「ブラック・アルバム」と呼んでいた。プリンスの『ブラック・アルバム』へのトリビュートだったんだ。たくさんの曲を書いたし、ちょうどいいスタジオだったんで、すべてそこで録音したよ。

知っての通り、JSBXの曲の中じゃ数少ない、あからさまに政治的な歌だよね。9.11の後だったし、僕らはニューヨークに住んでいるニューヨークのバンドだ。この曲は、とても強いフラストレーションと恐怖から生まれたものだけれど、それは9.11の事件そのものに対するものじゃなくて、どちらかと言うと、国ってものの死がどういうことかを見てしまうことに対するものなんだ。その事件で僕らに起きたことはこうさ。あの朝、僕は息子を学校に送って行ってた。クロスタウン行きのM14ってバスに乗っていて、6番街のほうを見下ろしたら家事が見えたんだ。最初の飛行機が追突した直後で、僕らのバンドのみんなにとっても、とても、とてもパーソナルな「何か」になった。その後続いて起きたことを見て、政府とこの国が何に対してどんな対処をしたかを見た。おそらくこの曲は全体にナイーヴだし、僕が極端に単純化しすぎているのかも知れないが、あの事件の真っ只中にいたんだ。僕らは見ての通りみんな生き残っているけれど、その後、僕らの名においてしでかしたすべての過ちを見て気が滅入ったね。

ジョン・スペンサー・ブルース・エクスプロージョン「ドゥー・ザ・ゲット・ダウン」(2015年)
『ダンス・パーティ』ってタイトルが何ヶ月も頭にあったんだ。で、ある朝、突然ひらめいた。「フリーダム・タワー」なんて言葉を今さら使うなんて考えられない。みんなそれから離れちゃってるって。だけどこのレコードにはピッタリハマったタイトルで、これはつまり…地面に穴があってそれが何年そこにあるかなんてだれが考えるんだい?それで時間がかかった。恥ずかしいよ。そんなわけで新しいレコードはすごくニューヨークに関するものになった。テーマが現れたんだ。有機的な感じでね。アルバムの曲順を考えている時に、このテーマで意味のある曲を意図的に選んだ。僕は29年かそこらニューヨークに住んでいて、人生のほとんどをここで過ごしてきた。でも依然として本当のところ僕は「ニューヨーカー」だって気分じゃないし、この瞬間でやってんらんないね。主張させてもらうよ。
Translation by Kise Imai

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