15位 Slayer(スレイヤー) 『リペントレス』


バンド創設時のギタリストでメインの作曲家だったジェフ・ハンネマンが他界し、同じく創設メンバーであるドラマー、デイヴ・ロンバードの(二度目の)脱退以来、スレイヤーにとって初めてのアルバムとなる『リペントレス』は、ここ10年強でリリースされたバンド作品のなかでいちばん魅力的で技巧が凝らされた作品である。舞台監督の役割と仮定すれば、ギタリストのケリー・キングは雄牛を完全に手懐けている。『テイク・コントロール』や『ユー・アゲインスト・ユー』のようなハードコアの刺激を受けたスラッシュ・メタルの楽曲の制作に加え、『ホエン・ザ・スティルネス・カムズ』や『キャスト・ザ・ファースト・ストーン』などの収録曲では、記憶に残るようなマイナーキーのリフや不協和音の雰囲気といったハンネマン独特のスタイルが採用され、キングが今は亡きバンドメンバーの霊と交信する。ハンネマンの生涯最後の完成曲である陰鬱な雰囲気の『ピアノ・ワイアー』(元々は2009年発売のアルバム『血塗ラレタ世界』のためにレコーディングされた曲)も収録されたこのアルバムには、ヴォーカルのトム・アラヤによるいちばんもっともらしく怒ったような歌声もいくつか収められている。by J.W.

14位 Leviathan 『Scar Sighted』


ワンマンバンド、リヴァイアサンの首謀者レストのような究極のメタルを聴いて理解できる人は誰もいない。彼の最新アルバム『Scar Sighted』は幽霊屋敷の苦悩のうめき声やデヴィッド・リンチ風のサーフ・ギター、断末魔のような強烈なビート、スラッジ・ロック調のブギウギ、コクトー・ツインズ風の軽やかに響くサウンド、アラビアン・プリンス風の力強い低音のモノローグ、延々と続くパンク調の振動音などをまとめ上げているが、これらすべての要素はほとんどブラック・メタルの範疇に留まっている。大胆というほどではなかった今までのアルバムのスタイルを踏襲しながら、純粋で悩める表現主義作品であり、彼が10年前の素晴らしいサイド・プロジェクト、ラーカー・オブ・チャリスの暗い雰囲気に少し取り組んで以来の最高傑作である。ここ最近のなかで最も型破りなメタル・アルバムのひとつであり、レストが同ジャンルのたくさんの仲間を悩ませるような確固たる厳格さを追求する、最も独特な歌声を持つひとりであることを改めて証明するものである。by K.G.

13位 Revenge 『Behold. Total. Rejection.』


カナダのアルバータ州エドモントン出身バンド、リヴェンジの高速ドラマー兼ヴォーカルのジェームス「J」リードは、アンダーグラウンドのメタル界において最も無秩序で物事を粉砕する破壊者のひとりである。しかし、マックス・マーティンが使うような汚れのない美しさや揺るぎない聴かせどころと同じくらい巧みに、粗野なテクスチャーと乱暴なリフを駆使する音楽家でもある。大局的に見ると、2003年のデビュー以降リリースされたリヴェンジのアルバムはどれもまったく同じように聞こえる。リードによるドラムの混沌としたサウンドやサイレンのような騒音を出す機械として使用されるギター、ディストーションのゾッとさせるような音の爆発(リヴェンジはダブステップのドロップに相当する)、エフェクトをかけた重厚なヴォーカルは、エサの時間のブタ小屋で屋外録音されたものなのではないかという印象を与えるかもしれない。バンドにとって5枚目のフルアルバムであり、レーベルのシーズン・オブ・ミストから出した初作品である『Behold. Total. Rejection.』は前作のスタイルを引き継いでいるが、とげとげしさと一貫性のバランスが見事に取られている。by H.S.

Translation by Deluca

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