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ヴァン・ヘイレンの超クールなレア曲20選

Tom Beaujour | 2016/01/29 18:00

| Photo: (Ebet Roberts/Redferns/Getty) |

レアなデモ音源から見過ごされてきた隠れた名曲まで、ヴァン・ヘイレンのディスコグラフィを隅々まで巡る旅

2015年の初め、ニューアルバム『ライヴ・イン・ジャパン』のプロモーションのため、ジミー・キンメルの番組の野外ステージでヴァン・ヘイレンがコンサートを行い、『パナマ』の演奏中にリードヴォーカルのデイヴィッド・リー・ロスが回していたバトンで鼻を切るアクシデントが発生した。

ロスはステージを降り傷の手当てを受けたが、後に14針を縫う大怪我だった。バンドは演奏を続け、ロック界で最も畏敬を集めるオリジナリティあふれるプレイヤーのひとり、ギタリストのエディ・ヴァン・ヘイレンがリックとノイズを浴びせ続けて場をつないだ。数分後、ロスがステージに戻り、「どうだい? ハイアワサみたいだろ?」と観客におどけて見せた。


あの晩、最初に血が出た時点でパフォーマンスを中止してよかったはずだ。2度のヴォーカリスト交代と1度のベーシスト交代を経て50年に渡るキャリアを築いてきたバンドがここまでやる必要はない。72年にエディがドラマーである兄のアレックス・ヴァン・ヘイレンとパサデナで結成したこのバンドが、ここまで続いてきた理由は何か。もちろん、金銭的な理由がある。バンドはチャートで幾度となく1位を取り、数千枚のアルバムを売り上げ、長いキャリアに渡り数えきれないほどのアリーナを満員にしてきた。しかし、音楽的な理由もある。85年にバンドを脱退し2006年に再加入したロス、2代目ヴォーカリストのサミー・ヘイガー(3代目ヴォーカリストのゲイリー・シェローンは例外だが、それについては後述する)とヴォーカリストが変わっても、ヴァン・ヘイレンはコンスタントにリリースを続けた。ロック専門ラジオ局を聴いたことがあれば必ず耳にしたことがある『ジャンプ』『悪魔のハイウェイ』『フィニッシュ・ホワット・ヤ・スターテッド』などのヒット曲はもちろんのこと、アルバム収録曲や未発表の名曲の数々を掘り下げることで、気分爽快なアンセムややかましいロックの枠に収まらない(両者を否定するわけではないが)、このバンドの音楽の幅や繊細さが明らかになる。

オリジナルメンバーのマイケル・アンソニーに代わり、エディの息子、ウルフギャング・ヴァン・ヘイレンをベースに据えた2015年夏の北米ツアーの満員御礼を記念して、ヴァン・ヘイレンの公式/非公式ディスコグラフィから超クールなレア曲や未公開音源、アルバムの隠れた名曲を厳選した。

『ドーナッツ・シティ』
「ドーナッツ・シティ」は、キャメロン・クロウが脚本を担当した84年の映画『ワイルド・ライフ』のサウンドトラックにのみ収録されているインストゥルメンタル。ティーンとドラッグとヌンチャクが出てくるドタバタ映画と同様、長い間忘れ去られている。エリック・ストルツ、リー・トンプソン、リック・モラニス出演の映画の方はポップカルチャーの瓦礫の下に埋もれたままでいい代物だが、トンプソンが働いている店の名前をタイトルにした本作は、マイケル・ジャクソンの「ビリー・ジーン」から拝借したビート、ジミ・ジヘンドリックス風のバックワードギターソロを含むエディ・ヴァン・ヘイレンのバリトンギターリフをフィーチャーした、ドライヴ感のある印象的なロックだ。


『無法の世界

93年のアルバム『ライヴ:ライト・ヒア、ライト・ナウ』のディスク2に埋もれた、ザ・フーの名曲の衝撃的なカヴァー。ヴァン・ヘイレンがただのキラーバンドではなく、キラーカヴァーバンドでもあることを再認識できる。エディ・ヴァン・ヘイレンのお家芸であるフィンガータッピングは、オープニングを飾るキーボードパートのアレンジに完璧にマッチしている。サミー・ヘイガーが喉を震わせて叫ぶ「イエーーー」は曲のクライマックスであり、ロジャー・ダルトリーが歌うオリジナルのパワーとパッションにも引けを取らない。
Translation by Naoko Nozawa

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