グレイトフル・デッド 結成50年ライヴレポート:締めくくりが新たな始まりに

WILL HERMES | 2016/01/24 17:00

| Photo by Jay Blakesberg |

バンド結成50周年記念コンサートが、2015年のロックンロール復活の主役を奪う

狂想曲だった。余人をもって代えがたい事実上のバンド・リーダー、ジェリー・ガルシアはもう20年も前に亡くなっている。

生き残ったメンバーはこれまでにいろいろな組み合わせでツアーを行ってきたけれど、さほど話題にもならず、しかし今回多少賑やかに再結成ライヴを5回行うことにしたところ、これが年間最大のコンサート・イベントに化けてしまったのである。

とにかく数字が驚異的だ。もともとはシカゴのソルジャー・フィールドで3回のコンサートをおこなうはずだったのだ。そこに、カリフォルニア州サンタクララでの2度のウォームアップ・ライヴが追加された。さらに、これまでの音楽イベントが全部小さく見えてしまうほどのこの騒ぎ全体がペイ・パー・ヴューで生中継されることになり、アメリカのみならず、世界中の映画館やバー、お茶の間が満員になった。終わってみれば、『Fare Thee Well: Celebrating 50 Years of Grateful Dead』の総売上は5,500万ドル(約64億円)に達したと見られている。しかもCDとドキュメンタリーDVDのリリースはまだこれからだ。もちろん、テイラー・スウィフトは秋のツアーでこの3倍は売り上げただろうが、彼女は17週間にわたって50回強のライヴを行っているのだ。9日間で5回とは訳が違う。

額面60ドル~200ドルのチケットは、再販市場で価格が何倍にも跳ね上がった(チケット売買サイトStubhubでは、S席を116,000ドル(約1,350万円)で買いたいという変人もいた。あの人はチケットを買うことができたのだろうか)。マーケティング面に後味の悪さを感じた人は多かったが、ライヴ自体はうまく作られていて、進行も上々だった。バラが配られ、演奏はすばらしく、ボブ・ウェア、フィル・レッシュのガラガラ声と、ブルース・ホーンズビー、トレイ・アナスタシオのしなやかな歌声の対比は、容赦ない時の流れを感じさせた。アナスタシオのギターは、ジェリー的なものと、アナスタシオ的なエネルギッシュなスタイルの中間にある線上を渡っていたのが好ましい。まるでほとんど昔と同じようでいて、実はきちんと違うものであった。

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Photo by Jay Blakesberg
Translation by Kuniaki Takahashi

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