アデル インタヴュー(前編):「子供を産まなかったら、私は音楽の世界に戻ってこなかった」

人生はあっという間に過ぎていく。「昔の生活が恋しくなることもあるわ」彼女はこう話す。「ほんの一瞬だけど、毎日必ず思うの。気持ちをかき乱されたりはしないけれど、時間どおりに学校に通って、誰の反応も気にせずただ曲を書くっていう10年前の生活に戻ることができたらって。それがかけがえのないことだって今ならわかるの。子どもでいることの素晴らしさって、大人になって初めて気付くのよね。本当に皮肉だと思うわ」

家族と過ごす時間を除けば、プライベートでは数少ない旧友と出かけることが多いという。友人たちの中には児童本の著者やテレビ番組のプロデューサーなどがいるそうだ。「『21』が世界中で広まっていくにつれて、古い友達と過ごす時間がますます大切になっていったの」ツアーに出ることになれば、彼らを一緒に連れていきたいと彼女は話す。「彼らには大きな借りがあると思ってるの」

最近話題の有名人のスクワッドかと尋ねると、彼女は鼻で笑ってこう話した。「その言葉、最近よく耳にするわ。私の仲間はスーパーモデルなんかじゃないけど、私にとってはそれ以上の存在よ。そういう意味じゃ私の『スクワッド』なのかもね」極端なアメリカ訛りで話すその言葉には明らかに皮肉が込められている。「私の仲間はパパラッチが飛びつくような人々じゃないわ」一瞬表情が明るくなって、彼女はこう続けた。「でもリアーナが私のスクワッドに入ってくれたら最高ね!考えただけで楽しくなっちゃう。彼女こそクイーンよ。私は彼女の大ファンなの」

アデルの車はテキサコ駅のすぐ隣の、どこにでもある3階立てのレンガ造りの建物の前で停まった。1階にはディスカウントショップがある。14歳になったばかりの頃、アデルは母親のペニーとそこで暮らしていた。父親は彼女が幼い頃から家にいないことが多かったという。アデルは父親について話すことを嫌い、またその不在が彼女の人生に与えた影響はほとんどないと強調する。「あの4〜6つめの窓がある部屋に住んでたの」かつての自宅を指差しながら彼女はそう話す。ペニーは18歳の若さでアデルを産み、2人は『ギルモア・ガールズ』に登場するキャラクターのような仲睦まじい親子だという。『21』が破格の成功を収めていた当時でさえ、彼女は母親と一緒に住んでおり、現在でも頻繁に会っているという。「私たちはお互いのことを何でも話すの」彼女はこう続ける。「母のことを恥に思ったことは一度たりともないわ。だからこそ私は道をそれずに成長できたんだと思う」今日に至るまで、アデルはマリファナに手をつけたことも一度もないという。

幼少期のアデル James Davies/Splash News

Translation by Masaaki Yoshida

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