12人が語るhide:LUNA SEA SUGIZO「圧倒的譜振り幅はやはり天才たる所以」

By Joe Yokomizo 2015/12月号 P28〜28 |
ローリングストーン日本版2015年12月号掲載

─SUGIZOさんは現在X JAPANのギタリストとしてhideさんのパートを弾いていますが、そこから見えてくるhideさんの才能を言葉にすると?

ある時X企画のスペシャルイベントがあって、そこでhideさんのセッションバンドに俺も呼ばれてダムドやバウハウスのカヴァーをやったんですね。それがhideさんがX JAPAN(以下、X)以外で初めて正式に歌ったライヴだったと思う。要は、Xに才能を捧げている一ギタリストから、〝hide〟という天才ポップ・アーティストに変貌していった一部始終を僕は見ていたんですよね、今思うと。Xのラスト・ツアーの頃は、もう〝Xの献身的なギタリストHIDE〟ではなく、ポップでカラフルな世界を創り出す〝ソロ・アーティストhide〟がXに参加している感覚だったと思う。ギターのアプローチも大きく変わった。解散間際にはギターソロも以前のように弾かなくなってきていた。例えば彼は昔は懸命に〝紅〟のソロの細かいフレーズを弾いてたけど、後期は簡単に端折ってる(笑)。ちなみに今、俺が弾いてるのは、初期の〝紅〟です(苦笑)。例えば名曲〝WEEK END〟も、シングル版はhideさんが特にテクニカルな時期で、それこそスティーヴ・ヴァイのように弾きまくってる。当時は、技巧的なギタリストを目指していたんだと思う。その後、ソロ・ワークに目覚めてテクニック至上主義を一切排除し、ラスト・ライヴの〝WEEK END〟はだいぶフレーズ端折ってますね。そういうところが、手に取るようにわかるんです(笑)。そういう変化ができるのも才能の成せるワザですよ。

─そうさせたのはなんだったんでしょうかね?

hideさんは音楽に〝美意識〟や〝アート〟という概念を持ち込むのを嫌がっていて、僕にいつも『自分のやってることをアートって言うんじゃねぇ。音楽はただのエンタテインメントなんだよ』って言っていた。それは、今だから言えるけど、Xに対するアンチテーゼだったと思います。そしてそれを実践できたのはhideさんの持つ切り捨てる能力です。hideさんは、〝アート〟や〝テクニック至上主義〟を切り捨てていった。それによって一般的に知られている〝hide〟になった。その判断力は流石だったと思います。

─なるほど。

あくまでXはYOSHIKIさんの美意識とToshIさんの歌声から成っていて、そこにhideさんが自分のセンスやエキスを差し出し、惜しみない協力をすることで素晴らしいバランスができあがっていたと思う。XはほとんどがYOSHIKIさんの作曲ですが、まさにYOSHIKIさんの理想を具現化するツールにあえてなっていた。それをhideさんが望んでいた。なぜか。彼はXの前に一度は音楽の道を諦めたところを、YOSHIKIさんに引き戻してもらったんですよね。『よっちゃんは俺の恩人なんだ。彼は最高に天才なんだけど、ただ、バンドを司るには向かない人なんだよ。だから俺がいなきゃいけないんだ』と。それはもうバンドへの愛だしYOSHIKIさんにする愛ですよね。自分の表現欲求やアーティストとしてのエゴは皆無だったと思う。その封印していたクリエイティヴィティが爆発したのがソロ活動だった。おもちゃ箱をひっくり返したような、問答無用の楽しい世界で実験や遊びがたくさんあって。その圧倒的譜振り幅はやはり天才たる所以でしょうね。

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SUGIZO
スギゾー ○1969年、神奈川生まれ。バンドLUNA SEAのコンポーザー、ギタリスト、ヴァイオリニストとしてデビュー。現在はソロ・ワークをはじめ、X JAPAN、JUNO REACTORのメンバーとしても多岐に渡って活動。X JAPANとして2015年12月から日本公演を皮切りに世界ツアーを行う。
Text by Rika Suzuki

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