J・J・エイブラムス&スティーヴン・コルベア『スター・ウォーズ』対談

2. エイブラムスには過去、舌が郵送されてきたことがある

エイブラムスが初めて見た映画は『メリー・ポピンズ』だ。だが、初めて見たアダルト向け映画(いや、そっちの映画のことではない。コルベアはそっちでも面白い会話になるだろうと語ったが)は『エクソシスト』だった。トラウマになってもおかしくないこのホラー作品は、すでにスーパー8カメラで遊んでいた10歳のエイブラムス少年にとって、映画制作への情熱を一層高めることとなったのである。同作のメイクアップアーティスト、ディック・スミスに手紙を書くと、興味深いものが返信されてきた。映画で使われた小道具だ。この小包を見たエイブラムスの母から、名言が飛び出したのである。「どこの“ディック(野郎)”が舌を送ってきたの?」

エイブラムスはその後、スミスから手紙で注意を受けた。『狼男アメリカン』のリック・ベイカーの特殊メイクが、『ハウリング』のロブ・ボッティンのものより好きだと書いたからだ。しかし、スミスは自分の無礼を詫びる電話をかけてきたのだった。(ゴム製の舌が滑ったということにしておこう)。

3. スティーヴン・コルベアは、J・R・R・トールキンを家族以上に愛している

実際には驚くほどオタク要素が少なかったこのイベントだが、観客のひとり(サクラではないはず)がコルベアに、トールキンの小説でエイブラムスに映画化して欲しい作品は何かと尋ねた瞬間があった。コルベアが、思い悩むことなく挙げたのは『アカラベス』。トールキン没後に出版された『シルマリルの物語』に出てくる、ヌーメノール島での出来事を綴った30ページの短編だ。コルベアは「ミドルアース(中つ国)のなかでも最高だ」と作品について熱弁を振るい、息つく間もなく次から次に意味不明な名前を挙げて、文中の一節(“そこへサウロンが現れた”)を暗唱した。これは「ミドルスクール」つまり中学のカフェテリアでたぶん一人だったのだろう、コルベアが初めてこの名著を読んだときから、何十年にも渡りずっと愛着を抱き続けてきたことの証だ。

4. 意外な『スター・ウォーズ』キャラクターが、エイブラムスのお気に入り

別の観客が、エイブラムスに“チューバッカのような主要キャラクター以外”で『スター・ウォーズ』に登場するお気に入りのエイリアンは何か質問した。エイブラムスは名前こそ知らなかったものの、自信を持って答えた。彼が選んだのは『スター・ウォーズ エピソードIV/新たなる希望』のモス・アイズリー・カンティーナにいた、わざとらしい邪悪な笑みを浮かべた男だ。エイブラムスは、彼の印象的な外見は映画の中心に描かれているものとはまた違う人生やドラマがあることを暗示していると語った。(ついでだが、キャラクターについて自分で調べる必要はない。彼は悪名高き“モンテリアン・セラットの屠殺者”、デヴァロン軍の大尉カーデュサイマロックだ。戦いの後、巨大なハゲ頭でキャッチーなカンティーナ・チューンを奏でる“ジズ”バンド、フィグリン・ダンとモーダル・ノーズのツアーマネージャーとなった。)

Translation by Sayaka Honma

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