トレイ・アナスタシオの最新作に対して、次のような疑問が湧くのは明らかだ。“グレイトフル・デッドと過ごした夏からどの程度の影響を受けたのか?”そして、その答えはこうだ。“もともとデッドに影響を受けてきたプレイヤーが、得ると予想される程度”。つまるところ、いつもとあまり変わらない楽曲となっている。

「Flying Machines」の最後で聴けるメローなジェリー・ガルシア・バンドふうのジャム、または「Sometime After Sunset」をチェックしてみてほしい。こういった楽曲からわかるのは以下——もし「君自身をグレイトフル・デッドのアルバムで例えると?」と尋ねられたとしたら、アナスタシオは必ずや「『シェイクダウン・ストリート』」と答えるに違いないということだ。

 よりできのいい「In Rounds」では、ザ・ミーターズ流のグルーヴと、ギターだけではないソロが楽しめる。ファンキーなオルガンとホーンがアレンジされた同曲では、アナスタシオが夏にフィル・レッシュの横で見せた時と同様の素晴らしい演奏を披露する。また、スフィアン・スティーヴンスの音楽を想起させる「Invisible Knife」でのヴォーカル・アレンジは、ソロアーティストとしてのアナスタシオができること、そしてそれをもっと披露したほうが良いことを教えてくれる。

 本作に収録された「Bounce」は“ハイになりすぎた、ハイになりすぎた、ハイになりすぎた”と繰り返す、少々不謹慎な1曲だ。それでもこの曲は、アリーナで披露されるにふさわしいクラシックとなり得る仕上がりで、こちらもついつい、もう一度吸いたくなってしまう。

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